花嫁と咎人


すると女店主は、


「やっぱりね。」


と不敵な笑みを零し、再び煙管を吸い始めた。

何が…やっぱりなの?
私は疑問に首を傾げる。

ハイネの困ったような顔、女店主の満足げな顔。

ハイネには何か秘密があるのかしら…。


「今度はアンタの番だよ。」


すると唐突に煙管を突きつけられ、は、はいっ!と思わず背筋を伸ばしてしまう私。
女店主はそんなに強張らなくてもいいよ、
と優しく微笑む。

でも、ここで正体を明かして本当に大丈夫かしら…。
そう思いハイネの方を向くと、


「この人は多分、大丈夫だ。全部言え。」


彼は私を振り返ることなく言う。

ハイネが良いって言ってるんだもの…きっと大丈夫よね。

彼を信じ、私も帽子を取る。
そして瞬く間に栗色の髪が帽子から溢れ出て、一気に変装が解かれた。


「だからエルバートの名を出したんだね…。本当に、綺麗な子じゃないか。」


そんな私の姿を見て懐かしそうに、だが儚げに…私を見つめる。


「エルバートから聞いて、あんたの事はもう知ってるよお姫様。名前はフランシーヌ。よく…ここまで来たね。」


そして彼女はカウンターから離れると、突然私を強く抱きしめた。
びっくりして私は焦るが、


「きっと辛い事が沢山あったんだろう。生きてて本当に良かった。」