「…僕は、殺してしまいたい程に貴方が憎い。

でも。


それでも僕は息子として、

貴方を闇から救い出したかった。」



しかし、彼の心が父に届く事は無く。

最後までラザレスは、闇から這い上がる事は出来なかった。



「ハッ、お前が私を救うだと…!?一体何をほざいている!私を救う事が出来るのは、国王の権力!ただそれだけだ!」



そう叫び散らかす父の姿を見て、オーウェンは何度も首を振り…

「貴方は愚かだ」

と唇を噛み締めては呟いて。


終に。


「最後まで、人の心を理解できなかったのか。」


息子は父を見離した。


それから彼は構えていた剣を降ろし、右手を上げて合図を送る。

そしてそれを機に部屋に入ってきたのはフレッドを始めとした王国騎士団たち。

彼等はラザレスの配下にあった憲兵達をなぎ倒し、

惨劇の首謀者を完璧に捕らえた。


「一体、これは何の真似だ…!」


抵抗も虚しいいまま、あっさりと縛り上げられ、困惑するラザレス。

だが、


「貴方が、己自身を孤独にしたのだ。」



これが…何よりの現実だった。



ハイネの後ろで佇みオーウェンはそう告げ、エルバートは私の側で跪く。

そしてハイネの義姉、ルエラが剣を鞘に戻し…数歩下がった時。





オーウェンは覚悟を決めたかのように口を開いた。