―バン!




「ハッ!逃げられると思ったか、愚民共が!」



だが、突然開いた扉と共に現れたのは、ラザレスと数人の憲兵達。

彼は私達をゆっくりと嘗め回すように見ると、剣を引き抜き高らかに笑う。


「お遊びもこれまでだ。貴様が何処のどいつか想像もつかんが、この国にいる限り只の犯罪者だと言う事を忘れるな!」


そしてその刃の先端をハイネに突きつけ口元を歪めると剣を大きく振り上げた。



「邪魔者は、忌々しい女王と共に…消え去れ!」



その直後。




「―…消え去るのは、アンタの方だ。」




ハイネが大きく口元を歪めたと同時にラザレスの両脇から二人の人物が飛び出し…互いの剣を交差させ彼の動きを完全に止める。

そして突然天井の一部が開いたと同刻に、剣を構えた銀髪の女性と、大きな弓を構えた金髪の少年が私達の目の前に飛び降りてきたのだった。


「……!」


そう。
ラザレスの動きを止めたのはエルバートとオーウェン。
天井から降りてきたのはオズと…あの女性は恐らくハイネのお姉さんだろう。


「…お、のれ、!」


彼女は大きく息を吐くと、髪を掻き分け…物凄い形相でこちらを睨むラザレスを睨み返した。
そして彼の喉元に剣を突きつけると…冷ややかな視線を落として。


「見苦しい。いい加減、目を覚ましたらどうだ。」


だが、狂人と化したラザレスは止まらない。
何度も離せと喚き散らしては獣のように吼え、暴言を吐き捨てる。