花嫁と咎人



「っらあ!」



男は勢い良くラザレスを弾き飛ばすと、力強く女王の手を握り締めた。
そして青く輝く瞳を揺らめかせて…



「―…逃げよう。」



有無を言わせず、彼女を広場から連れ出したのだ。



「っ、この…!追えー!」



途端、響き渡ったのは絶え間ない観客達の歓声。
ラザレスの声など気にも止めず、ざわめく広場と追いかけてくる憲兵達を背に…二人は城へと身を翻す。



女王と、死刑囚。


嗚呼。
そんな肩書きを振り払うように、彼等は走った。

互いの温もり。
忘れられない思い出。

甦るのは…愛しくも儚い日々の残像。



記憶を辿るように、二人は駆け巡る。

それは時と同じように、

今を刻む歴史のように。


世界を…変える希望となって―…。




悲しき過去さえも、未来に変えてゆくのだ。