…突然の出来事と、余りの速さに…私の脳内は混乱する。


一体何が起こったの?

この人は誰?


必死に私は馬にしがみ付きながら、顔を上げた。

すると目に入ったのは白いローブを着たその人物の背中。

風に揺れたのは、後ろで一つに結われた小麦色の長い髪。
そして同じような色をした肌がその隙間から見えた。

…女の人、?


刹那。


「!」


私はハッとして口を開いた。


「まさか、あなた…」


「こんなとこで何やってんのさ…!馬鹿!?」


待たずして振り返ったその人物。
私はすぐさまその名を呼んだ。


「ジィン…!」


ジィンは呆れたように私を一見し「もうすぐ森出るから、少し待ってて。」と言うと再び高速度で馬を走らせる。


―…そして、5分後。


森を出た私達は馬から降りると、大きく息を吐いて…近くの岩に腰掛けた。


「痛っ」


だが岩に手をついた瞬間、ズキンと痛みが走って。

どうやら落馬した時にひねったらしい。
…腫れあがった手首を見つめ、私は小さく溜め息を落とす。