「とりあえず…俺はアンタの意見が聞きたい。ここでおとなしく死ぬか、俺と一緒にここから出て…その先の事は、また考えるか。選べ。
ちなみに俺は、首を切られるつもりなんて毛頭無いからな。」


腫れ上がった頬がとても痛そうだったが、私は迷うこと無く、彼の手をとった。

…ここで死ぬのが私の運命なのかもしれない。
けれど、こんな所で一生を終えるだなんて…悔しい。

なんの為に、皆が死んでいったのか…。
私はもう一度考えた。

そしてエルバートの顔が浮び、思い出されるのは私を“守る”と…最後に言った彼の言葉…。

私は…生きたい。
生きなければならない。

彼らの無念を晴らすためにも、この穢れた王国と戦うためにも。
その為なら地位も何もかも捨ててみせる。

私にはもう…失うものなどなにも無いのだから。


「…ハイネ、私もあなたと共に行くわ…。」


そしてハイネの傷だらけの手を握り締め…願うように告げた。


「だからお願い、どうか助けて…!」


時が止まったような間の後、ハイネはフッと微笑む。


「…仰せの通りに女王陛下。この地下牢から共に…脱出致しましょう。」


彼は立ち上がるといきなり私の腕を掴んで引き寄せ、そして。


「さて、誓いのキスを願おうか。」


わざとらしく微笑んだ。