「お止め下さいオーウェン様。」
フレッドに静止され、オーウェンは彼を見つめる。
「それは…無意味です。」
「でも、!」
「これ以上!」
張り上げられたフレッドの声。
少し怯んでしまった自分がそこにいて。
「貴方が罪を背負う必要は無い。もう、十分ではないですか…。」
彼の心配そうな表情が自分を見つめた時…
「…フレッド、」
オーウェンは静かに剣にかける手を下ろした。
それから間も無く、後ろから馬車がやってきた。
「お乗り下さい。」
騎手の憲兵にそう言われ、
「行きましょう、オーウェン様。」
オーウェンとフレッドはそれに乗り込む。
だが勿論馬車の中で二人は無言を決め込み、数多の時間が過ぎる中。
オーウェンは一人、彼…ハインツの不可解な言葉の意味を考えていた。
『…大人しく死刑囚に戻ってやるって言ってんだよ。』
一体、何を考えているんだあの人は。
その癖にはしっかり逃げたじゃないか。
…いや、待て。

