「最後ぐらい…俺の名前を呼んでくれよ…。」
自嘲気味に笑っても、目尻に涙が溜まってしまうのは…
きっと俺が弱いから。
涙をぐいと拭い…もう一度フランに目を向けて、
その細い首に手を回した。
――…カチッ。
そして…彼女の全てである“王家の証”を首から外して。
「これで、アンタは自由だ。」
ブルーサファイアが埋め込まれたペンダントを持ち上げ、をポケットに。
「好きな所に行って、好きなように生きろ。―…もう、俺に干渉しちゃいけない。」
だがその代わりに自分のつけていたピアスを片方取ると、手の中に握らせた。
刹那、
その唇に優しくキスを落として。
「ずっと…側に居たかった。」
強く抱きしめたその体をゆっくりと離すと…
「さようなら。」
俺は立ち上がり、
振り返るのを止めた。

