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フィレンツィリア王国―アンダーレスリバー。
そこに颯爽と森の中を歩く男がいた。
彼は黒いベストと黒いカッターシャツ、
黒いズボンそして黒いブーツを身に纏い…
ピンだらけの茶髪をいじりながら、町に入っていく。
すると、
「お帰りなさいキャプテン!」
湧き上がる歓声と、沢山の見慣れた顔。
懐かしい町並みが広がる中で…
「ただいま、皆。」
盗賊団ヴァルドヴァレスの賊頭、オズヴァルド・ヴァン・ウォーロック―通称オズは盛大な歓迎を受けていた。
「オズちゃん。」
「おー、サラ、お前少し見ないうちに大きくなったなー。」
と自分の隣に立ち、手を繋いでくる少女に目を向けたり、
「キャプテン見てくれよ!おれ、弓上手くなったんだよ!」
「何だってー!負けないからな!」
はしゃぐ少年と拳を会わせたり。
他にも沢山の老若男女に囲まれて、彼は故郷を楽しんでいた。
―盗賊団ヴァルドヴァレス。
表向きには悪質な盗賊団。
一般人が近寄れぬ領域に住む者達の集まり。

