―…初めてルエラを産み、我が子を抱いた時…
これ程幸せな事は無いと思いました。
勿論、あなたも同じ。
ルエラには申し訳ないですが、あなたと、あなたの父と私。
その三人で暮らしたあの日々がいつまでも続けばいいと思っていました。
その内、ルエラもこちらに呼んで…どこか遠い国で過ごせたら良い。
そんな事も考えていた。
ごく普通の幸せな家庭を築きたいと思っていました。
誰にも干渉されず、誰にも妨害されず…自由に生きていくことを私は望んでいました。
けれど…
どうやらそれは許されなかったようですね。
女神様は身勝手な私に罰をお与えになったのでしょう。
でも、私は…それでも良かったと思っています。
あなたとルエラを産めたこと、生まれてきてくれた事。
これ以上の幸せはありません。
あなた達こそが私の宝であり、希望であり…光なのです。
だからあなた達にはあなた達なりの人生を歩んでいって欲しい。
私と言う手枷、義理の父という足枷。
それらを全部なぎ払って…
どうか、自由にお行きなさい。
こんな所で足を止めずに、あなたはあなたの信じる道を行くのです。
嗚呼、でもハインツ。
成長したあなたに会えなかったこと、それが一番の心残りです。
心身共に大きくなったことでしょう。
立派な男性になったことでしょう。
昔は私の腕の中にすっぽりと納まっていたけれど、
今はきっと、私を見下ろしてしまうくらい、背が高くなっているのでしょうね。
…母の記憶の中にいるあなたは、いつも笑顔で笑っています。
だからどうか、その笑顔を忘れないで。
愛しています、ハインツ。
そして、

