花嫁と咎人


ふいにオズが取り出した、一枚の白黒写真。


「…まだ持ってたのか。」


「どうせハインツも持ってるんだろ」


「……ほっとけ。」


右に立つハイネ、左に立つオズ。
そんな二人の腕を抱えるようにして大袈裟に笑う…長い黒髪の少女。


「お前“いちたすいちは”って言われてんのに“四角が四つ”とか言うから、変な顔になってんだよ。」


写真を見ながら少し顔が綻ぶ。


「別にいいだろー!ハインツだって微妙に口元上げてるだけなんだしさ!」


「馬鹿か!これでも俺は盛大に笑顔を作ったんだよ!」


「は!?じゃあ何、これ作り笑いかよ…!うっわ、最悪!」


だなんて昔の事を話すのは、気も引けるし、悲しくなるけれど…とても楽しくて。


「…ロナに言うなよ。」


「ははっ、もう言えないよ。」


そう、笑いながら俯くオズが泣いている事を知りながらも、俺はただ月を見上げた。

そして煌々と夜空を照らす月が雲に隠れてしまう前に、口を開く。


「…もうすぐ、終わりそうだ。」


すると彼は、え?という顔をするが、次第に眉が下がり始め…
小さく「そう。」と呟いた。


「フランちゃんにはもう言ったんだ。アルベルタさん…ハイネのお母さんの事。」


無言で頷く俺。


「で、やっぱりさっきのジャックさんの話…だよね。オレも内心ずっと思ってた。」