「―…死刑囚でした、ってな。」


終わり。

そう言って彼は微笑んだ。


「今日で国を出てから4年と11ヶ月5日目。後残り26日。」


…言葉が出ない。
何と言っていいのか分からない。

ようやく言ったのは、


「…その間、費用はどうしたの?」


そんな事。


「ん?ああ、働いた。公的な手段で。」


「言葉は?」


「覚えた。」


「何を食べていたの?」


「ピンからキリまでだよ」


ハイネの瞳。
真っ青な目。


「ハイネの…お母様の名前は…?」


時間がゆっくりと進んだような気がした。
ハイネの口が開いて…告げる。


「―…アルベルタ。」


刹那、涙が零れた。

酷く胸が痛んだ。


「…ハイネ、」