「ならどうしてキスなんかしてたの…?好きだからでしょう?!」
私はただ、溢れ出す気持ちをぶつける事しかできない子どもで。
「あなたを見てると、もう、頭がおかしくなりそうなの…!」
「…フラン、お願いだから話を」
ハイネの言葉などもはや耳にも入ってこない。
大粒の涙が溢れて零れて…どうする事も出来なかった。
「見せ付けて…楽しかった…?」
結局私はひとりぼっちの女王。
普通の恋など…望んだ方が馬鹿だった。
こんな思いをするくらいならいっそ、出会わなければよかった。
「私、あなたの事がよく分からないわ…。ハイネが分からない。…あなたの全てが何も分からない…!」
嗚呼、もう終わりだ。
これで全て終わり。
…ごめんなさいジィン。
私は好きな人に酷いことばかりしか言えない、最低の女だわ。
「私は、こんなにも……ハイネの事が……っ」
……大好きなのに。
耐えきれずに、顔を覆った。
とめどなく溢れる涙と嗚咽が、私を一層強く責め立てる。
もう優しくしないで。話しかけないで。
いっそのこと、貴方に酷く冷たい言葉で引き裂いてもらえたらいいのに。
―けれど。
そんな今にも凍えそうな私を包んだのは、酷く暖かい温もりと、優しさと、
途方もなく唐突で偽りない口づけだった。

