花嫁と咎人


初めて知る、ハイネがこの国を訪れた理由。
…ハイネはこの国が鎖国中で、危険だという事を知っていたのだ。


「オレ、今のアイツ見てんのが、辛くて仕方ないんだよ。でもどうしてやる事も出来なくてさ。アイツの代わりなんて誰もいないし…。もう、どうしていいか。」


わかんねぇよ。と言って顔を両手の中に埋めてしまうオズ。

私もどうしていいのかわからなった。
ハイネの事を一つ知っても、どうしていいのか分からない。


「わ、私…知りませんでした、ハイネが女の人を捜してここに来た事…。」


ただ、おろおろと動揺してしまうばかりで。

ど、どうしよう。

そう思っていた時、オズが口を開く。


「アルベルタ。」


「……?」


「女の人の名前。…アルベルタ、って言うんだよ。」


…あ。

ふと思い出した。
そう…あれはまだタリアの家に居たときの事。

眠れなかった私が、こっそり二人の会話を聞いてしまった…あの夜。

そこで聞いたのが、この、


“アルベルタ”


という名前。

それを思い出したとき、何故だか凄く、複雑な気分になった。

ハイネの事をもっと知りたい。
…私にも、きっと何かできることがあるはずだわ。


「オレが今フランちゃんに言えるのはここまで。後はアイツ次第かな。」


額に手を当て、疲れたように話すオズを見て…私は軽く頭を下げると、一気に紅茶を飲み干す。