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見渡せば1階は吹き抜け、大きなシャンデリアが天井にぶら下がって…家具はどうって揃えたのか一流品ばかりが並んでいる。
どう考えても場違いだろ。
どうせなら1番街の高級住宅を買って、見つかって、憲兵に捕まって死ねばよかったのにと本気で思った。
「これ使えよ!」
オズに渡されたタオルでびしょ濡れの体を雑に拭う。
隣に居るフランはガタガタと震えてとても寒そうだった。
「…おい、シャワーは無いのか。」
思わず俺がそう問いかけると、オズはあっちにあると指だけさして何処かへ行ってしまう。
おい、しっかり案内しろよ。
あっちがどっちなのか分からないが、取り合えず震えるフランを連れて多分この方向だろうと思われる場所に足を進める。
氷の様に冷たいフランの指。
泣いたせいか目は少し腫れて、真っ赤だ。
そして一番気になるのが首筋についたこの赤い痕。
それを見ると、無性に腹立たしくなった。
別にフランが一方的に悪いわけじゃない…
一人にした俺にも十分非はある。
今回は幸か不幸か…たまたま相手が腐れ縁の知り合いで早く見つけられたから良かったが、
もしこれが赤の他人で…見つけられなかったら―…。
そう考えるだけでとても複雑な気分になった。
なんでだ。
なんでこんなアホ純粋な姫様のことなんかで。
驚くぐらい、大きな溜め息が出た。

