かんのれあ番外編

――かんのさんは吸収力に長けた作家だと、俺は思っている。


周りの意見をまっすぐ受け止め、自分なりの方向性に変換し、作品にして発信する。


少なくともデビューまで漕ぎつける作家は、それなりの成長力を見せるものの、かんのさんのように吸収力のある作家はなかなか少ない。


おそらく彼女の人間性で、作家としての武器なのだろう。



もともと好きでこの仕事に就いて、嫌な経験もそれなりにしてきて。


慣れとともに、やり甲斐も、大変さも、"それなり"に落ち着いてきて。


それでも、こういう作家の担当をするのは、やはり楽しい。





「さて……と、」




メールの返信内容を見直しながら体を伸ばし、送信ボタンを押す。




この後は、新人作家との打ち合わせが控えている。



そのまま食事会へ直行し、戻ってきたら校了――の前に、鏡華さんにもう一度、今日のことをきちんと謝らなければ。


担当作家の内の一人だけ特別扱い、なんてことはもちろんできない。



「…………よし」




だから今日も、


全部のことを、



全力で頑張ろう。