「ん、どうしたの」
気付くと、先程の向かい側の席の編集が、顔を上げてこちらの机を覗き込むようにしていたので言った。
どうやら俺が今読んでいる原稿を気にしているようだ。
「……"手のひらのセカイ"……新シリーズですか?かんのれあさん、作家名ですよね。私聞いたことないです。新人さんですか?」
「新人……、まぁそうだね。二年ちょっと前、今から四、五回前の新人賞受賞した子かな。
ほらあの、十代でデビューした、」
「あ、ああ~~!」
彼女は思い出したと言わんばかりに声を高くして言う。
「いましたね~!いたいた、若い子!
確か鏡華さんの回ですよね」
そうだよいたよ、と彼女は何度も一人繰り返し頷いてみせる。
そして一通り納得すると、こちらに向き直り、
「長かったですね」
驚きのような色を混ぜつつも、先程までの落ち着いた声で言った。
"長かった"とは、おそらくデビュー作からのスパンのことだろう。
確かに、デビュー作がそのままシリーズになる作家も少なくない中、かんのさんは長かった。
「まあね。色々あったけど、とりあえず第一歩」
「へぇ~、まさしく待望の――ですね。内容どんな感じなんですか?」
「う~~ん、……内緒」
「えー、ちょっとぐらいいいじゃないですか」
「はは、まあまあ。楽しみにしていてくださいよ」
教えたくないわけではないけれど、何となくそう言った。
気付くと、先程の向かい側の席の編集が、顔を上げてこちらの机を覗き込むようにしていたので言った。
どうやら俺が今読んでいる原稿を気にしているようだ。
「……"手のひらのセカイ"……新シリーズですか?かんのれあさん、作家名ですよね。私聞いたことないです。新人さんですか?」
「新人……、まぁそうだね。二年ちょっと前、今から四、五回前の新人賞受賞した子かな。
ほらあの、十代でデビューした、」
「あ、ああ~~!」
彼女は思い出したと言わんばかりに声を高くして言う。
「いましたね~!いたいた、若い子!
確か鏡華さんの回ですよね」
そうだよいたよ、と彼女は何度も一人繰り返し頷いてみせる。
そして一通り納得すると、こちらに向き直り、
「長かったですね」
驚きのような色を混ぜつつも、先程までの落ち着いた声で言った。
"長かった"とは、おそらくデビュー作からのスパンのことだろう。
確かに、デビュー作がそのままシリーズになる作家も少なくない中、かんのさんは長かった。
「まあね。色々あったけど、とりあえず第一歩」
「へぇ~、まさしく待望の――ですね。内容どんな感じなんですか?」
「う~~ん、……内緒」
「えー、ちょっとぐらいいいじゃないですか」
「はは、まあまあ。楽しみにしていてくださいよ」
教えたくないわけではないけれど、何となくそう言った。

