「渡辺ぇ、合コンセットしろや」


「……唐突ですね、山崎さん」


言って隣に座る男が振り向く。


相変わらず鼻からモンダミンでも噴出しそうなツラした爽やか男だ。


立ってるだけで女が群がる癖して浮気の概念がない、もとい家庭一筋な奴。


「ったく、女々しい奴だよお前はよ」

雄々しくても後々泣きを見るけどな。


別に俺のことじゃあない。


「いやいや、僕まだ何も返事していませんけど。大体、山崎さんの好みの女性ってどんな方です?」


「素直な子」


「……」


「何だよその間は」


「え?あれ、それだけですか?」


「文句あんのかテメー!」


「あー、はは、いやいやそうでなく。少し意外でした」


「意外とは含みのある言い方だなぁオイ。目がくりんくりんしてて可愛くて背ぇちっちゃくて控えめで

まぁ胸もデカかったら尚いいよなー、とでも言うと思ってたのか?」


「まぁ、それに近しいことは」


笑顔で曖昧けど確実に肯定しやがった。


笑顔か。

まぁコイツの場合はデフォルトの表情がこれなのだが。


困った時も、これに冷や汗一つでも付けりゃあ出来上がり。ったく腹立つ男だ。



言うのも癪だが図の星を掠めているだけに。