――スノボ旅行、当日。
あれから2週間が経ち、嫌なことほど早く時は流れ、あっと言う間に今日が来てしまった。
今回はJILLも胸元で光ったまま。
これがないとケンカしてるのが丸分かりだし、せっかくの楽しい旅行の雰囲気を壊したくなかった。
それに、蘭さんにもそんな隙を見せたくなかった。
怒鳴り合ってでも言いたいこと全部吐き出して、お互いすっきりして。
それでも拗ねてむくれてるあたしに、礼が謝ってくれる。
これが、いつものパターンだった。
どれだけ喧嘩しても、今まで別れるという言葉は出ることはなかったし、普段は“ケンカ中”ってなれば、顔を合わせることはおろか、連絡すら絶つ。
それが今回は、必要最低限の事務的な連絡は取ってるし、今日だって家まで迎えに来てくれた。
だから、あの日本当に終わってしまったのかどうかさえ、よくわからない。
“タイミングが分からない”から。
“いつもと違いすぎる”から。
“なんにも解決してない”から。
どれも本当だけど、どれも言い訳だ。
謝り方なんて分からないし、そうしたところでなにも解決しないとも思う。
だって
このモヤモヤをどうやって拭えばいいのかも分からない。
ネックレスだってはずせない。
