――RRRRRRR
面白くもなんともない、むしろ眠気を誘うための英文学の講義の真っ最中。
あと10分で講義が終わる!というとき。
あたしのiPhoneがけたたましく鳴った。
一斉に犯人探しをし始める学生達。
その中でいかにも『あたしじゃありませーん』と装い、飄々と机の下でiPhoneを開く。
(マナーモードにしておけよ、自分)
大地君からメールだ。
『礼が熱出してぶっ倒れた。授業終わったら医務室来れる?』
「えぇっ?!」
メールの内容に驚いて、思わず声を上げる。
残念ながら、あたしの叫び声は心の中だけじゃ留まらず、回りにだだ漏れだったようだった。
回りは一斉に振り向くし。
栞は『あちゃー』と頭を抱えてるし。
挙げ句、教授は『藤本…?』と顔を引き攣らせてる。
でも、そんなことは気にも留めず。
講義が終わるのも待たず、教室を飛び出した。
「ちょっと、ちさ?!どーしたの!」
後ろで叫ぶ栞の声も、今は無視して。
