―――5 days later...


カフェテリアで大きな欠伸をひとつ。

あぁ、ねむい。
とてもじゃないが、午後からの講義が受けれる気がしない。
このまま帰ってベッドにダイブしたい。


「はい、お待たせ〜」

トレーを置いて前の席に座る栞の手にはオムライスがふたつ。

“ごくろーサマ”

昼時恒例のじゃんけんで見事勝利し、栞にあたしの分も買いに行かせてたというわけ。


「眠そうだね〜。また夜通し礼さんといちゃついてたの?」

スプーンでオムライスをつつきながら平然と聞いてくる栞。
人がレポートに追われてたというのに、なんと失礼な。

「違うっつの!大体、礼とはしばらく会ってないよ」

同じようにスプーンを口に運びながら反論する。
やっぱりここのオムライスはいける。(礼のには負けるけど)


礼がバイト先に迎えに来てくれたあの日から、お互いバイトだの課題だので、予定が合わなくて会っていない。

“年中盛ってるみたいな言い方しないでくれる”

失礼するわ。
会わないときだってあれば、泊まってもヤらないときもあるもん。


「そんな首元一帯に“赤いお花”ちらつかせながら言われてもねぇ。ちさの肌だけは春なのかしら?」

勢いよく首までトップスを引き上げる。
今更意味がないことくらい分かってるけど。

“しばらく会えなくなるから”とかなんとか都合のいい理由をつけて。
いつも以上に所有印を刻んでいったのだ。
大分薄くはなったが、今だお花畑が完全に消えてくれることはない。

おかげで肌を露出した服は着れないし(それが礼の狙いなのか?)、見られた人からは必ずと言っていいほど冷やかされるし。
苦悩の数日を過ごしていることは言うまでもない。