【悪口2】(紗良視線)
人の悪意をこれ程近くで受けたのは初めてだった。
「…なんなの」
じゃあ自分たちなら釣り合いが取れるのか、と思う。
でも私には…
あそこから堂々と出ていく勇気すらなかった。
瑛斗のこと。
初めて出会った時、最初はただ馬鹿だと思ってた。
あまりに馬鹿すぎるから自分とは違う人種とさえも思ってた。
関わることはないだろうと。
入学式以来瑛斗は私によく近寄ってきたけど相手にしていなかった。
でもあの事があってから…
私は瑛斗と一緒にいるようになった。
そして瑛斗も私の傍にいるようになった。
「……紗良?」
部活を終えた瑛斗が教室に入ってきた。
いつものように勉強をしていない私を不審に思ったようで少し眉間に皺を寄せている。
「何やってんの?勉強は?」
そのセリフ、まさか瑛斗に言われると思ってなくて少しびっくりした。
「…………」
それに何も言わず机に広げた参考書とノートを片付ける。
「…なあ」
瑛斗に視線を向けたら想像以上に真剣な表情をしていた。
「何?」
「正直に言えよ」
「何よ」
「何があった?」
「何も」
即答した私を納得がいかないと言うように睨む瑛斗。
それを横目にノートをスクールバックに入れて肩にかけた。
去年クリスマスに瑛斗に貰ったふわふわのマフラーをして瑛斗に言う
「帰るよ」
「…おぉ」
(3に続く)

