「……負け犬?」 嫌そうに金井くんはつぶやく。 近くにいた柚香もうなずいた。 「なにもしなかった。明美が好きでも、奈留が好きでも、何もしなかった。 仲を崩すことしか思いつかなかった。そんなの、ただの負け犬でしょ」 「言っとくけどな、幼なじみは簡単に縁、切れねぇんだよ。親が仲いいからな」 離れても離れても、もとに戻る、か……。 昔、お母さんに言われた。