ジュリエット、悲劇のジュリエット。

愛する人と、ロミオとは結ばれない運命の、ジュリエット。

悲しい、苦しい、そして、妬ましい。

ジュリエットは、ただ、愛する人と幸せになりたかった。

たった1人の、愛するロミオ。

だから、ジュリエットは幸せになれなかった。

彼女はロミオしか、愛せなかったから。





だから彼女は、ジュリエット。

ただ1人の男を、ロミオを想い続ける、悲劇のジュリエット。

苦しかった、悲しかった。

ロミオと、結ばれない運命が。

こんなに近いのに、こんなにも遠い。

ロミオが、離れていってしまう。

そしてロミオは、シンデレラの王子になった。



それでも、彼女は幸せだった。

ロミオと、大切な親友が幸せになるのなら、それで良かった。

ロミオの幸せこそが、ジュリエットの幸せだったから。



それでも彼女は、ロミオを想い続けた。

ロミオへの想いを、捨てられなかったから。

悲しかった、苦しかった。

シンデレラが、妬ましかった。



そしてジュリエットは思った。

私は、悲劇のジュリエットなんかじゃない。…と。

だってジュリエットには、ロミオがいない。

ロミオがいなければ、悲劇は始まらない、終わらない。

それでいいと思った。

大切な2人が、幸せになれるなら。



それがジュリエットの、幸せだった。









「さよなら、ロミオ」