「えっとえっと…確かこの辺に…」





書類が散乱した机の上。


あれでもないこれでもないと物をどかしていく。






「あっれ、持ってきたはずなんだけどな」






…勘違いだったか?





「おっかしいなぁ」




机の上だけでは飽き足らず、今度は机の下に置きっ放しにしていた無数の紙袋をあさる。









「どうしたんですか?春恵先生」



そんなことをしていると、ふいに頭上から聞こえた声。




「皐月先生」



顔を上げると、1つ年下の国語教師の優しげな笑顔がそこにあった。