「とりあえず宿題ちゃんとやって来いよ」




こういう時は、逃げるが勝ち。


ここに居ても、ろくなめにあわない。






そう判断した俺は、そそくさと教室を出る。








数歩廊下を進むと



「ハルくん!」



後ろから誰かに呼び止められた。







「樹」



振り返るとそこに居たのは、さっきまで教えていたクラスの1人の女子生徒。




『樹 秋香』



成績も良いし、授業態度も至って真面目。


さっきの生徒達と違って、俺に対する態度だってちゃんとしている。


まぁ、要するに何の問題もないできた生徒だ。








「どうした?」


慌てて追いかけてきたのか、少し息があがっている。