「で?何の用だよ」



気を取り直して、晶に問う。






コイツは、用もないのにわざわざこんな性質の悪いことしてくるやつじゃない。








「あ?お前がぶつぶつ独り言言ってるからだろ」



「え?俺、声出てた?」



「無自覚かよ」



「あはは…」



わざとらしく溜め息を吐く晶。







…まずいまずい。



樹に関わることだしな…、コイツがペラペラ喋るわけもないけど、デリケートな問題だし…。






「俺、何て言ってた?」



「知らないな。忘れた」


「……。あっそ」





…何だよ。ちょっとドキドキしちゃったじゃねーか!








晶は無駄に鋭いところがあるから、こっちも気が気じゃない。



学生時代からそうだったけど、何かとコイツは俺の触れて欲しくない部分によく気が付いて、ヒヤヒヤさせられてきた。







まぁ、俺ももう大人だし?


易々と見抜かれるほど、バカじゃないさ。