「それより今日空いてません?」



急ピッチで片づけを進める俺の耳に、さっきよりも小さめな声が届く。





「え?」


「ご飯でもどうかなーって」






飯か…。


そういえば、ここ最近忙しくてろくなもん食べてなかったよなー。


この前一緒に行った皐月先生おすすめの店も旨かったしなー。






「いいですよ。暇ですし」



彼女のほうを見ないまま答えると、



「やった」


という声がかすかに聞こえた気がした。








「じゃぁ、何食べたいか考えておいてくださいね」


「分かった」


「本ここ置いておきますから」


「ありがとう」


「終わったら職員玄関で」


「りょーかい」


そんな会話をして、皐月先生は職員室から去って行った。









残されたのは、俺と授業のない数人の先生たち。


それと…。


職員室に戻って来てから、ずっと面白そうにこっちを見ていた晶だけ。







…とりあえず、この机の上どうにかしなきゃな…。


あと、樹にコレ渡さないと…。





机の上を見ながら、俺は1人溜め息をついた。