ジリジリとしたアスファルトを走り続けてたどり着いた、いつも通っている学校。

首や頬を伝う汗を急いで拭き取って校内に入った。


いるかな?まだ補習中かな?
もしかしたら入れ違いで帰っちゃったかも。


そんなことを思いながらうろちょろしていると1人の男の子に会った。


「あれ?百合ちゃん」

「優太くん」


赤茶髪の長身、無類の女好きと評判の高松優太くん。

あたしの片思いしている彼の友達の1人。


優太くんがいるってことはまだ残ってるのかな?どこにいるのかな?


そわそわしていると優太くんはフッと鼻で笑った。


「椿なら屋上に行ったよ」

「…1人で?」

「んー、多分。須藤とかはコンビニに買い物行ったからな。行ってくれば?」


優太くんにはあたしの気持ちなんてモロバレ。

だからこそ、さりげなく一緒にいさせてくれたりするのかもしれない。あたしの恋を応援してくれてる、優しい人。


「会ってきてもいい?」

「いってらっしゃい」


ありがとう。そう伝えてすぐに屋上に向かった。


たった数メートルの距離を走ってるときに想うのはやっぱり君のこと。

なにしてるのかな、とか、会ったら何を話そうかな、とか。

いつだってあたしは君でいっぱいなんだ。