沙雪は15分ほどでやってきた。

「悠ちゃん…?」
「沙雪。」

沙雪はやっぱり僕の些細な変化に気づいている。


「悠ちゃん…公園、行こうか。」


最後ぐらい、沙雪のわがままも聞いてやろう。

何時も聞いてたわがままも、聞けなくなってしまうかもしれない。

「うん…。」


しばらくして公園に着いた僕らは、この前来た時のように、ブランコに座った。

「悠ちゃん、この前…可愛い兄妹が居たよね?」
「うん…。」

僕はこの前の兄妹を思い出した。

「女の子がね?こう言ってたの。『お兄ちゃんと結婚するんだ』って…『お兄ちゃん大好き』って…。」


「うん…」

男の子はこう言っていた。

『ぼくが守ってあげなきゃ』と。

今になって、あの言葉が大きく胸に響き渡る。

僕も…僕が、沙雪を守らないと。