『アイシテル』を忘れない。

「お帰りなさい…あれ?」

ドアをあけると、お母さんらしき人が出てきた。
沙雪はお母さんになのだろう…。
お母さんも美人だ。

「えっと…こっちが、悠ちゃん。」
「はじめまして。」
「あら…今からお買い物に行って来るから、夕ご飯食べていってね?」
「え?あ…はい。」


僕は家が少し心配だけどきっと大丈夫だろう。
今日は、遅くなるかもしれないと言ったら、友達と出かける、といっていた。


そしてお母さんは出て行った。
まだ僕達は靴も脱いでいない。

「…どうする?ちょっと、ゆっくりしてから…会う?」
「…うん。そうしよっか?」

けど…沙雪のお母さんに聞かれてしまったら、きっと沙雪のお母さんは傷つくだろう。
だから、なるべく早くしないと…

「あ、お母さんなら大丈夫だよ。2時間は帰ってこないし。」
「…そう?」
「うん。まぁ、上がってよ。」

沙雪の家に上がるのは、初めてで。
僕は何時もマンションの下だった。

「ここ、わたしの部屋…」
「お―…綺麗じゃん。沙雪らしい。」
「…悠ちゃんがほめるのってなんか珍しいかも。」

良かった。意外と何時もみたいに話せてる。
こうして、ぎこちなさを感じずに話せることが嬉しい…。

でも、普通なら、こんな幸せを感じないのかも知れない。

でも僕は、この家に来るのが最初で最後になるかもしれない。

そんな事も考えていた。