「お姉ちゃんは?」
「え?」

女の子はじっとわたしの顔を見て行った。

「お姉ちゃんは、お兄ちゃんの事好き?」

わたしは少しためらってから答えた。

「うん、大好きだよ。」と。

わたしがそう言うと、女の子はまたニッコリ笑った。

「お姉ちゃん、可愛いね!」
「え…?」
「あ、お母さんが呼んでる!じゃあ、唯帰るね?バイバイ!」
「あ…ばいばい、」

女の子は大きく手を振ってまた悠ちゃんの方へ戻って行った。
短い間だったけど、外の空気のせいか、ココアの缶は少しぬるくなっていた。

女の子が去っていくのをなぜかスッとした気持ちで見ていると、なんだか心が温かくなって、涙が出そうになった。

「沙雪ー!」

悠ちゃんの声に、流れ落ちそうになった涙をわたしは急いで笑顔に変えた。


[唯ね、お兄ちゃんと結婚するんだ!]

[唯ね、お兄ちゃん大好きー!]


………わたしと悠ちゃんは、兄妹です――…