「沙雪だって俺と同じぐらいの成績じゃん。」
「でも悠ちゃんよりわたしの方が、上だったでしょー?」
この前のテスト。
沙雪と那智と夏音と一緒に勉強して、頭が良い沙雪は、僕達に教えてくれた。
実は僕は上位50人の中に入っていたけど、誰にも気づかれないような存在だった。
すると、沙雪に、ちゃんと勉強しろ、と言われて、勉強したところ、沙雪は9位、僕は18位という結果だったのだ。
「…ま、いっか?」
「なんだよ、それ?」
少し笑った沙雪が可愛かったので、僕もつられて笑ってしまった。
「ねぇ?悠ちゃん?」
「んー?」
「悠ちゃんのさ、誕生日、もうすぐだね?」
「ほんとだ。あと、2週間後。」
僕の誕生日は、2月14日。
だから、仲の良い女友達からも、プレゼントはもらえないのだ。
毎年、沙雪と夏音からは、義理チョコという名のプレゼントを、もらっている。
「今年は、彼女として、あげるね?」
「楽しみにしとく。」
「悠ちゃん?」
「今度はどうした?」
「寒いから、手…繋ごう?」
『手…繋ごう?』沙雪にとったらただの一言かも知れない。
けど、僕には、幸せな一言だったんだ。


