「もういいよ、」

沙雪が口を開いた。

「…えっ?」
「…夏音は、わたしを裏切ったりしないって、信じてるから。」
「沙雪…、大好き!!」

そう言って沙雪に抱きついた夏音に沙雪は少し戸惑いながら、

「うん……。」


と、答えた。

「…悠ちゃん、ほんとにごめんなさい!」

そんな、夏音を怒っているつもりは僕にはまったくなかったけど、
夏音は不安で不安で仕方なかったみたいだ。

「いいよ…俺だって、夏音にいろいろ迷惑かけてただろ?」
「悠ちゃん…。」
「夏音!悠ちゃんは、わたしの物だからね♪」
「うん…!」

2人はそう言って抱き合っている。

女の子の喧嘩も、いまいち分からない。

「ねぇ悠ちゃん?わたし達、女の子同士でお話とかもしたいから、先に帰ってて?」
「そうだねー!」
「お、おぅ…じゃ、あとでな?」
「はぁーい!!」


屋上の古びたドアを開け、あまり人が来ない階段を降り、自分の教室にゆっくり向かっていた。

その時…

「…悠?」

不意に、後ろから声が聞こえた。


僕はまだ、友達なのだろうか―…?