「…俺たち、付き合うことになったから。」
2人に着いて来て誰もいない屋上に出た僕達3人は、早くも沈黙が続いていて…
沈黙に耐えかねた僕が発した言葉が、これだった。
「そう、なんだぁ…良かったね悠!」
「お。おう…」
夏音に以外にも明るくよろこんでもらって少し面食らった僕だったが、
隣の沙雪の小さな笑顔と、夏音の表情に心が穏やかになった。
この2人は意外と平気なのかも知れない。
「夏音、昨日の事、聞いてもいい?」
そう真剣に夏音を見つめる沙雪を見て、胸が締め付けられるような思いになった。
まだまだ僕が那智に勝てるはずがない。
分かってはいるけど、少しは辛いものだ…。
「…昨日は、那智が、『悠からメール来て、あいつ等どっか行くって』って言ってきて…」
「うん…、」
沙雪は夏音からしっかり真剣に全てを受け止めるようにして聞いている。
僕も、聞かなければ…。
「で、なんかあたしと悠が付き合ってると思ってたみたいで…『あいつ等が浮気するなら、俺らも出かけようぜ?』って…」
「で?」
僕がそう聞くと、夏音は小さい声でこう言った。
「悠ちゃんにも迷惑かけちゃって…ごめんね?」