「ちょ、お前那智…に、殺されんぞ?」
「あ、あの、那智とは別れたんだ?」
「え゛…」
もしかしてこいつは沙雪に憧れの思いや恋心を抱いていたんだろうか?
沙雪に…
「これからは悠ちゃんの彼女だからよろしくね♪」
と言う沙雪の声で正気に戻ると沙雪がにっこりと僕の肩に寄り添いながら笑っていた。
「おー…!よろしく!」
良かった…。
そうしてホッとしている僕の隣に来て、沙雪に聞こえないように小さく、
「お前、うらやましいんだよ!覚悟しとけ!」
と言われ、ホッとしたのもつかの間、頑張って笑顔を保つものの、
意外と沙雪をひそかに狙っていたやつらもいたらしく、
学校に着く頃には、
「那智してやったり大作戦」は、
「悠の敵増やそうぜ大作戦」にすっかり変わっていた。
学校に入った僕らは、ちょっとした注目の的で…
僕は少し緊張してしまった。
そこへ申し訳なさそうな顔をした夏音がやってきた。
沙雪は静かに立ちあがり、夏音の所へ向かった。
夏音と沙雪が話すなら、と思い、那智の所へ行こうと立ち上がって夏音たちとすれ違おうとすると2人に止められた。
「…那智はまだ来てないよ?」
「…悠ちゃんも聞いてて?」
「はい…。」
沙雪だけでなく、この2人に僕は敵わないらしい。


