沙雪の声がさっきより少し低くなった。
…きっと俺、振られるんだろうなー…。
「好きって、ほんと?」
「へ…?」
「…悠ちゃんと、付き合っちゃおうかな?」
沙雪がそう言って小さく意地悪そうに笑ったので思わず見とれてしまった。
「え…嘘だろ?だって、沙雪は俺の事ただの友達としかみてねぇし…」
僕が少し焦りながら言うと沙雪はまた少し笑って、
「だって、もしかしたら付き合ってみて好きになるかも知れないでしょ?」
と言った。
「それに……もしかしたら、那智が追ってきてくれるかな?とか思ってたから、」
沙雪がそこまで言った時、僕は沙雪を抱きしめた。
「ありがとう…」
「なんで悠ちゃんがお礼言うの?…今も、悠ちゃんを利用しようとしてるんだよ?」
「…沙雪、俺と付き合って下さい。」
「好きになれる様、努力します♪」
でも、一つだけ、約束をしなくちゃいけない。
沙雪はまだ、那智の彼女で、僕の[仮]彼女だ。
「沙雪、俺は那智と話をする。んで…沙雪は俺の仮、彼女。俺は沙雪が俺のこと好きになってくれるまで沙雪に手出したりしないから…」
「ん。」
「あ、ただし抱きしめるのと手を繋ぐのは許してな?」
「…はい。よろしくね?悠ちゃん。」
「よろしく、沙雪。」
僕は沙雪を、仮とは言っても、彼女に出来た。
好きになるように努力する。
この言葉を信じてみよう。