「え!?」

「…もう、那智の浮気癖にはついていけないよ…。」

そう言うと、沙雪はゆっくり後ろを向いた。

「ばいばい、那智。有難う…」


そして、沙雪は一度振り返って笑った。
僕が嫌いな、辛い時に無理してみせるあの笑顔で。

笑った後、沙雪は走って行こうとする。


「まって。」

僕はそう言って、沙雪の腕を掴んだ。


「…那智、俺はずっと沙雪が好きだった。…沙雪とお前が付き合う前から。」

「………で?何。」

「だから…お前が沙雪を傷つけんなら、俺がこいつもらうから。


  …いくよ、沙雪。」

僕は沙雪の腕を引っ張った。


もうこのまま、沙雪を僕の物にしてしまいたい。


大好きな沙雪を、

悲しませたくない。


嘘でもいい…。


僕だけの沙雪でいてほしい。