「痛ってえな、ってまたお前かよ」
私が打つかってしまった相手は、あの最低男、竹内廉だった。
竹内廉が、まるで汚い物を見るような冷血な目で私を見下ろしていた。

…最悪。
私は早くこの場から立ち去ろうと思ったけど竹内廉に腕を掴まれてしまった。

「…離し、て下…さい…」
そう小さな声で言うと、
「ああ?聞こえねーよ」
と唸るような声が聞こえた。

悪夢だ、これは悪夢だ…。
でも、強い力で掴まれた私の腕はジンジンと痛む。

「何か、言えよ」
やっぱり竹内廉は冷たい目で私を見る。
…ムカつく。
何なの!?この上から目線っ!!
もう限界っ!!

私の中でプツッと何かが切れた。

「謝ったじゃん!!だいたいアンタは何様のつもりな訳!?人のこと見下して楽しい!?この冷血人間!!」気づいた時は、もう遅かった。
私の体の中の血がサーッとひいていくのが分かった。
周りの人が好奇の眼差しで私と竹内廉を眺める。
言った後には後悔が残る。

「あ、あの…」
竹内廉が私にゆっくりと近寄る。

…え、やめてよ!!近寄らないで!!

そんな願いとは裏腹に私はついに壁に押さえつけられてしまった。

竹内廉の拳が徐々に私へと近づく。

殴られる!!
そう思い目を閉じた瞬間だった。
耳元で「バシーン」と言う鈍い音が聞こえた。

私は恐る恐る目を開けた。
目の前には不気味に微笑む竹内廉。
背中に虫ずが走る。
「…俺様に、そんな口の聞き方をするとはいい度胸してんな~。苺パンツちゃん♪」
竹内廉は、そう言葉を残し私から離れた。

…何も、されなくてよかった。
って、私、何言っちゃってんの!?
自分から墓穴掘ってるじゃん!!
…浮かれてて馬鹿みたい。

私の高校生活、終わり確定だ…。