見てしまった。
逞と葵が手を繋いでデートしてるところを。

どうして??
逞が私にした事、知ってるよね??
どうして??
廉への気持ちはそんなものだったの??



その日以来、葵と話すのは何か気まずかった。

「舞、どうしたの?」

いつもと変わらない笑顔で聞いてくる葵。

どうしたのはこっちの台詞だよ。

私は勇気を出して聞いてみることにした。

「…葵、彼氏いるでしょ」

少し動揺して目を泳がせる葵。
何で隠すの??

「逞と手繋いで歩いてるの見たよ」

俯く葵。
何で何も言わないの??

「…葵、逞が私に何してるか知ってるよね?廉への気持ちはそんなものだったの!?」

こんな事、言うつもりは無かった。

しばらくし、葵は大きな声で、
「ごめん!」
と謝った。

意味分かんないよ。
何で謝るの??

「…私、本当は譲れないよ。廉君のこと」

え…?

「…廉君の事、忘れたくて逞君のこと利用した」

廉への気持ちはそんなもの何かじゃなかったんだね…。