私は思わず目を閉じた。
昨日のキスがフラッシュバックで頭に流れる。

だけどしばらくしても昨日みたいな唇に柔らかい感触は無い。

目をゆっくり開けると、竹内廉の意地悪な顔。

「…キス、されるとでも思った?」
図星。
どんぴしゃな発言に戸惑う私。
そんな私の目の前に再び竹内廉の顔。
昨日のキスの時と同じ顔。
…今度はマジだ。

キスされる…。
そう思った時、ドアが勢いよく開いた。
「何してんの…?」
ドアの方向を見ると逞が立っていた。
私は慌てて竹内廉から離れた。
私と竹内廉の距離はソファーの升目一個分くらいある。

見たことのない逞の顔。
私は逞に腕を捕まれ学習室を飛び出した。