総合の時間は終わり私は席に着いた。

「斎藤君、良かったね」
後ろを振り向き行きなりせんな事を言う葵に少し戸惑う。
「う、うん…」
それしか言う言葉しか見つからない。

「それに比べて舞は駄目駄目。斎藤君の事ばかり眺めてさぁ」
と呆れた顔で私を横目で見る。
「だって…、かっこよくて…」
そう。逞がかっこよくて見とれちゃったんだ。
「あんなんじゃ、舞が斎藤君の事、好っ」
葵が言い終わる前に口を塞いだ。

「ごめん」
と言う葵。
仕方なく許すと、
「さーて、どうする?舞の恋愛大作戦」とにやけた。
絶対、反省してない。
って、何?
恋愛大作戦って…。
「メアド聞くとか…」
そんなの恥ずかしがり屋の私に出来るかな…。

不安そうな顔だったのか、
「大丈夫、仲良いじゃんっ」
と言う葵。
…大丈夫かな?

「あ、斎藤君来たよ!!頑張れ!!」
と言い葵は私にガッツポーズをし前を向いてしまった。

どんどんと近づく逞との距離。
…言うしかない。
そう思い勇気を振り絞った。

「メアド教えてくだしゃい!!」
噛んだ…。
恥ずかしくて下を向けば葵がくすくす笑っていた。

「くだしゃいって…」
とクスッと逞も笑う。
…逞まで。
と拗ねていると逞は鞄を取り出した。

「いいよ。携帯出して」
と言い逞は携帯は私に向けた。
「え、あ、うんっ」私も慌てて携帯を出した。
そして至近距離で赤外通信をする。
逞の顔、近い…。
また私の胸がドキドキ脈打つ。

ピロリロリン♪
と愉快な音をたてて終了の合図を知らせる。
「はい、完了」
そう言った逞が優しく微笑む。
「あ、ありがと…」
私は後ろから葵を抱きしめた。
「葵~」
涙が出そうなのを抑えて声を振り絞る。
「良かったじゃーん」
と本気で喜んでくれる葵。

高校生活って楽しい。
楽しい恋もして、大切な友達もいる。

この輝かしい高校生活はずっと変わらないと思ってた。