そう思い口を開く。
「あの竹内廉っていう奴?私もよく分からない。ってか私を副委員長にするとか訳分かんない!!」
私が必死で逞に訴えかけると思いもよらない返事が返ってきた。

「…舞のこと好きだったりして」

その言葉には何の感情もない。

「ないない!!だってイジワルしてくるし…」

そうだよ、ないよ。冗談でも駄目だよ、逞らしくない。

だけど、逞は、
「よく分かんないけど…、多分、舞のこと好きだよアイツ」の一点張り。
何故か、ズキッとする私の胸。
…逞の口からそんな言葉聞きたくないよ。

「…まあ、また何かされたら俺に言ってよ。俺が舞のこと助けるから」
逞はそう言い私の頭を撫でた。

キュッ、と違う意味で胸が苦しい。

本当に?私…、期待しちゃうよ??
さっきまで苦しかった私の胸は、たったその一言でドキドキと脈を打った。

「…ありがとう」
顔を赤らめながら言うと、
「あっ、ちょっと目閉じて…」
と逞の言葉。
私は不思議に思いながらも言われた通りに目を閉じた。

その瞬間、私の前髪に逞の手が触れた。
それだけなのに、私の胸は、また弾む。

「もういいよ」
私は目を開けた。

逞の手には桜の花びら。
もしかして、私の頭に桜の花びらがついてたから取ってくれたのかな??
なんて思いが過ぎる。
…私、自意識過剰すぎ。

「ねえ、知ってる?桜の花びらが地面に落ちるまでに拾えたら願い事が叶うって」
と言いニコッと笑った。
いつ見ても眩しい逞の笑顔。

「手、出して」
逞に見とれていた私は慌てて手を出すと逞は私の手の平に一枚の桜の花びらを置いた。
「…舞の願い事、叶うといいね」
また、優しく笑った逞は歩きだした。

私は桜の花びらを生徒手帳に挟んで逞の元へ走った。

「…逞の家ってどこら辺?」
逞を見上げて言えば、
「中央病院の近く」と逞が平然と言う。
「中央病院の近く!?真逆じゃん!!何かゴメン!!ここまででいいよ!!」
申し訳なく思い、逞を引き止めた。

「いいよ、別に。俺が勝手に舞と帰ってるだけだし」
と逞は私の手を離した。

「でも…」
もう一度、私が逞の手を掴めば再び私の頭を逞が撫でた。

優しく笑い、
「いーよ。気にしなくて」
と言う逞。
…やっぱり優しい。