「あ・・・」

言われて気づく。
彼女はまだ、地面に倒れたままなのだ。
そして倒れたとき、私にも聞こえるほど、大きな音で彼女は倒れた。
普通に膝から血が出ててもおかしくないし
もしかしたら手に力が入らないのかもしれない。

現に私に差し出された手からは豪快に血が溢れていた。

「ごめん!どうぞ!」

私は慌てて彼女に手を差し出す。
彼女は私の手を取ると、起き上がった。

「すみません、ありがとうございます。」

そう言うと、彼女はペこりと頭を下げた。

「あ、いえ、こちらこそ起こすのが遅くなってしまって・・・」

釣られて私も頭を下げてしまう。

「でも、よかったです。もしあのまま見なかったことにされたら、私起き上がれませんでした・・・」

彼女は、自分のスカートに付いた汚れを手で払いながらはにかんだ。
なんだか凄く感謝されてしまい、申し訳ない気持ちになった。

(ごめんなさい、初め見捨てようとしました・・・)

心の中でそうおもいながらも、

「そ、そうですよねー」

笑ってごまかすしかなかった。
渇いた笑い声が私の口からでる。
なんともわざとらしい、ふざけた笑い声だった。

だが、彼女は気づいてないのか、またはわざと気づかないのかは分からないが、気にはしていない様子で一緒に笑っていた。

「あはは・・・って、え!?」

しばらく笑っていると、とんでもないことに気がついた。

「え、ちょっと、足!!」

「え?」

彼女の足からは大量の血が流れていた。
しかも半端な量じゃない。
よく見ると、先程まで彼女が倒れていたアスファルトにも血が染みていた。