廊下に出た後、しばらく壁に手を添えながら歩いていると……


――ヒタ……ヒタ……


足音と……


――どこ……? 出て来てよぉ……


弱々しく掠れた涙声……

近くに、マヨちゃんがいる。


だけど、目を凝らしてみても何も見えない……。

耳をすませ、声の方向へ足を向ける。


それにしても……寒い。

首筋に冷水を当てられているようだ。

キィキィとした耳鳴りもしてくるし……

頭痛もするが、さっき程酷くはない。


――ヒタ……


泣き声と足音が……止んだ。

顔を上げれば、少し前にぼんやりと白い、人型の“もや”のような光が暗闇の中に浮かんでいる。


「マヨちゃん……?」