「サラの記憶は、俺と過ごした時間だけが欠けてる。それ以外は忘れてないのに……」


彩人くん、肩が……震えてる。



大好きな人との、大切な思い出。


忘れたくない、かけがえのない時間。


それが、自分の不注意で、一方通行になってしまった。



どれくらい辛かっただろう。
どれほど責任を感じて……後悔しただろう。


彩人くん、いつも笑顔で……明るくて。
お気楽の単細胞なんだって思ってた。



だけど、違った。

たった1人で、こんなに悲しい思いをしてたなんて……。



わたしにできる事……それは――…



「わたしの肩……寄り掛かっていいから……」


「え?」


きっと我慢してる涙を受け止めてあげる事――。



「ありがと……ゆんちぃ」


その言葉と同時に、わたしの肩に、振動が伝わってきた。



「ごめん……今だけは……っ」

「……うん」


声を出さずに泣いてる、彩人くんを見て悟った。



短い恋の終わりを――…