ドク――…ン。

心臓が悲しく叫ぶ。


そんな切なげな瞳で、誰を見てるの?


もしかして……元カノ?


そう思ったら、胸が苦しくなって……。
目の前の光景から視線をそらしたくなった。


彩人くんの、ピアスがまぶしい。


手元の写真を、大切そうに見つめている、横顔がまぶしい。



だけど、わたしは踏み出した。


1歩ずつ、少しずつ近づきながら、
鳴り響く心臓に負けないくらいの強い声で、



「彩人くん!」


呼びかけた。


わたしの声に、彩人くんが顔を上げた。

瞬間、制服のポケットに慌てて隠した、

……写真――…



ざわぁ。

風に揺られた銀杏の木から、ひとひら、ひとひら。

黄色い雨が降ってくる。



「話があるの」


わたしは、ありったけの勇気を振り絞って言った。