ピアス……。


あ、そう言えば――。


さっき去り際に見た、彩人くんの左耳に。


いつも欠かさず付けている、小さなトパーズのピアス、なかったっけ。



それで……元気がなかったの?



「そんなに、大事なモノなの?」



わたし、軽い感じで聞いたんだけど、



「うん。あれは、彩人にとって、想い出のピアスだから」



天人くんからは意外な言葉が返ってきて、戸惑った。



「お……もい……で……?」




ドク――…ン。
胸騒ぎを感じる。


まさか、あのピアスは……。

マサカ。



「……そ……そう言うこ……と?」



わたしの問いに、天人くんは黙ってうなずいた。



「でも、昔の事だよ」


うつむくわたしに、天人くんがそっと付け加えた。




そして、教室じゃ話しづらいからって。

図書室の裏庭に移動して、話の続きを聞く事にした。



天人くんは、1つ1つ、言葉を選ぶように。

あのピアスの秘密を話してくれた。