「た、天人くんっ。えっ……どうしたの?」


わたし、あたふたしてしまう。



「彩人に会いに行ってたの?」

「え」


「さっき、C組に入るところを見かけたから」

「あ、うん。借りてたCDを返しに……」



毎日聴いてるCDだって彩人くん言ってたから、早く返さなきゃって……。



「……そっか。あのさ」

天人くんが、メガネの奥、悲しい瞳で切り出した。



「彩人の様子、どうだった?」


って――。



「どうって……あ。少し、元気がなかったような……」



わたしが答えると、


「やっぱり」


天人くんが、ため息をついた。



「どう……したの?」


何か……あったの?


「いや、それがさ。彩人の大事なピアスが、なくなったみたいで――」


「ピアス?」


天人くんがうなずいた。