翼を失くした天使の羽音

「いや、劇じゃなくて……僕たち1‐Bの教室を飾り付けして、白雪姫の世界を再現するんだよ。ね、神崎さん」


「えっ……あ、うん」


ぎゃー。


いきなり話題を振られて、

わたしはドギマギした。



すると――。


彩人くんが、ぐいっ。


わたしの手を引っ張って、



「え?」


と思う間もなく。



「あ――!」


「え――!」



気づいた瞬間、わたしの左手の薬指に、彩人くんの唇が触れていた。




嘘――――!!

何で――っ!!